最初に
弊社でお買い上げの皆様は、上級者、プロ級の方がとても多いので下記のような事を 記載するのは、とても烏滸がましいのですが、これから富貴蘭栽培をはじめる方に少 しでもお役に立てれば、また富貴蘭の普及にお役に立てればと思い記載させて頂きま す。

Contents

1.富貴蘭とは
2.富貴蘭の栽培について
3.富貴蘭の自生地
4.富貴蘭の植え替え
5.富貴蘭の植え替え手順
6.富貴蘭の鉢について

富貴蘭とは、我が国の中部以南の山野に自生するフウランが、天然突飛で美しく変化 したものですが、その数は、10万本の中で1本といわれるほど少なくて、滅多に相遇 しない個体です。これを富貴蘭と名付け、日本古来の蘭とされています。 1987年に日本で開催された世界蘭博覧会（第12回蘭・世界会議）で、この花が日本を 代表する蘭としてそのシンボルマークになったため、園芸家の注目するようになりま した。 江戸時代の諸大名が血眼になって収集した富貴蘭---以来脈々と受け継がれてきた伝 統は最近はまで門外不出のものであった。この由緒ある古典植物、富貴蘭の栽培に少 しでも役に立てればと思い、富貴蘭用の栽培資材を弊社（有）所沢植木鉢センターに て 販売している次第です。

富貴蘭の栽培について
どんな植物でも共通の事ですが、自生地に出来るだけ近づける環境をご自宅（または 栽培地）で整えるかだと思います。 『どのように栽培すれば一番良いか？』　と、よく質問を受けるのですが、栽培環境 に関しては、栽培する場所（北緯）、日当たり、風通し、水やりの回数など個人差が ありますので、 何が一番良いかは、皆さんの栽培環境の中で、一番良いと思う方法を、ご自分で判断 し、また改良して、富貴蘭にとって一番良い環境を作って下さい。

富貴蘭の自生地
富貴蘭は大樹の梢に着生しており、夏は木の葉が日照を遮って涼しいそよ風を受け、 かなり湿度もあります。冬は落葉して割合に日が当たり、北風の当たらない、暖かい 場所に自生しています。自生地の再現に遮光ネットを活用するのお勧め致します。

富貴蘭の植え替え
植え替えは年に一回が理想ですが、2年に1回でも大丈夫です。私は横着なので2年に 一回です。ただ、毎年植え替えた方が成長が良いです。時期は最低気温が10度以上で 最高気温が28度以内であれば いつでも大丈夫ですが、春が理想です。

富貴蘭植え替えの手順
1.まず植え替えする富貴蘭を鉢より抜き、古い水苔を取り除きます。この作業を丁寧 に行われなけば、根の無い新子が外れてしまいます（個の場合は育たない）から注意 が必要です。
2.次に水道の流水で少し洗います。（害虫の卵などを流し去る為）　この時、新子が 葉5枚、根が3本以上の木は株分け出来ます。
3．両方の手で、外そうとする新子と親木を、親指、人指し指でそれぞれ持ち、軽く 捻るように左右に引けば、簡単に外せます。
4．黒くなり痛んだ根、長い軸などを鋏で切除し、整理して、別々に植え込み準備を します。
5．まず、円筒形のビンか竹筒の先端、及び周囲に、濡れた水苔を添えて、強く握り しめます。この場合、手の中の直径は鉢の内径より、2センチほど小さく仕上げま す。
6．その上に、富貴蘭の根を四方に広げて馬乗りさせます。
7．さらにその上に、水で濡らした長い水苔で包みます。この作業は熟練を要しま す。この作業は熟練を要します。水苔と根が密着するよう、また、深く包み込まない ように仕上げるのがコツです。鉢底部分に当たる長い余分の水コケは切り捨て、長い 根は水ゴケの周囲に巻きつけます。
8．軽く手に持って、筒を少し回しながら、抜き取れば中が空洞になります。そのま ま鉢に納めます。
9．鉢を入れた後に、鉢底から手指を入れて、水ゴケを鉢の内部に押し付けます。こ れで鉢の中に空洞が出来ます。鋏で水ゴケの表面のはねつりを仕上げて、ラベルを立 てて、出来上がりです。

富貴蘭の鉢について
弊社では京楽焼鉢、三河ラッパ鉢、三河素焼き鉢、三河素焼き鉢の大穴、三河素焼き 鉢のロクロ造りなどを販売しております。 京楽焼鉢は先人達の知恵にで作られたこの鉢は、実に行き届いた配慮がされていま す。江戸時代、享保の頃、尾張で初めて縁付の鉢が作られた記録があります。 この鉢は、乾いた水ゴケの上を走った水が、鍔によって受け止められ、ほどよく潅水 出来ます。またもち運びにも、鉢掛けに掛けるのも理にかなっています。 使用している土の粒子が荒いので、ある程度の保水力があり、加わえてロクロによっ て生地を作るので土の密度が均一となって富貴蘭の生育にはとても良いです。